オンライン学習で中学受験は可能?種類や活用方法を解説
最近は、オンラインを活用した学習方法に注目が集まっています。
オンライン学習には、「学校や塾が休校になった時に自宅で学習できる」「通塾時間が必要ないので、その分勉強時間を確保できる」といった長所があります。
中には「中学受験は、オンラインでの学習で対応できるのだろうか」と考えている方もいらっしゃることでしょう。
この記事では、中学受験への準備としてオンライン学習で対応が可能かどうかについて解説します。
中学受験の学習はオンラインでも可能か?
中学受験の準備には、塾へ通わずにオンライン学習でも可能なのでしょうか。
中学受験を目指す子どもの大多数は塾を利用していると言われています。
中にはもともと素質のある子が塾に通わず超難関校に合格した例はあるようです。
ただ偏差値の高い学校を目指す場合、ほとんどの子どもが通塾しているというのが現状です。
とはいえオンライン学習には塾にはない魅力があります。
塾のようにすべてを任せられない分、親も大変なものの、やり方次第ではオンライン学習で中学受験を成功させることはできます。
オンライン学習サービスの中には、講義が動画でチェックできるものや、ゲーム感覚で問題を解いていけるものがあり、好きな時間に好きな単元の学習を出来る点も大きなメリットです。
講師に一対一で指導をしてもらいたい場合は、オンライン家庭教師というサービスが便利です。
オンライン家庭教師(個別指導)の会社の中には、受験対策に強いノウハウを持っているところがあります。
受験についてわからない点などを質問、相談できるのは心強いですよね。
ただし家庭教師のサービスの質には注意をしてください。
中には、学生講師に指導内容や方法をすべて丸投げしている会社もあります。
指導方法をきっちり教育しているか、適切な指導がされていない場合、会社から講師へフィードバックがあるかなどを、確かめてからはじめましょう。
オンライン学習で受験対策をするためのポイント5つとは?
ここからは、塾に通わずにオンライン学習のみで受験対策をするためのポイントを5つご紹介していきます。
1. 長期的な学習計画、1週間の学習計画をしっかり立てる
塾ではカリキュラムが決まっています。
大手塾では、5年生までには受験範囲すべての学習内容を終わらせてしまうといいます。
オンライン学習のみで受験準備を進めるなら、家庭において一体いつまでどのタイミングで学習を行うのかを明確にして、長期間にわたる計画と短期間の計画を立てなければなりません。
オンライン学習サービスの中には、先取り学習に適したものもあります。
いつまでに何の単元を勉強するのかを決めて、計画的に学習をすすめましょう。
2. 親もしっかりと受験に関する情報収集し、子どもの学習をサポートする
中学受験は親の受験ともいわれています。
受験に合格するためには、何も考えずにだらだらと勉強をさせていればいいわけではありません。
受験校に関する情報や、勉強の仕方、学習計画の立て方、問題の解き方などさまざまな情報を手に入れる必要があります。
塾を利用しないのであれば、それらを自分たちで行わなければなりません。
親御さんは、積極的に受験に関する情報収集するようにしてください。
3. 公開模試を活用する
オンライン学習は、基本的に自宅で子どもが1人で行います。
周りにライバルがいる塾と違い、自分の実力がわかりにくいという難点があります。
実力を正しく把握するために、中学受験を目指す子どもたちが受ける公開模試を活用してください。
試験の雰囲気をつかむためには、他の子たちと一緒に受けるのが理想です。
しかし近くに会場がない、人混みに行かせたくないなどの理由があれば、オンラインで行っている模試を利用してみましょう。
次の2つは、オンラインで自宅でも受けられる模試の例です。
4. モチベーションを上げるために、志望校の行事へ参加する
中学受験を考えているなら、受験勉強が本格化する前の4年生くらいから気になる学校の文化祭などへ参加することをオススメします。
学校や生徒の雰囲気がわかりますし、子どもの「あの学校へ行きたい」というモチベーションアップにつながります。
オンライン家庭教師を利用して、志望校出身の学生に勉強を見てもらうというのも一つの方法です。
5. 複数の学習教材を組み合わせる
オンライン学習にもさまざまな形態があります。
家庭教師、タブレットを使った自習教材、授業配信型の学習教材などです。
それぞれに長所、短所があります。
受験勉強にはオンライン学習以外に紙ベースの教材など、複数の教材を組み合わせましょう。
授業配信型のオンライン学習サービス「スタディサプリ」では小学講座受講生にとったアンケート(※)によると、塾や通信教育と併用して勉強した子どもの割合は76%でした。
スタディサプリのみを利用している子の24%を大きく上回っています。
それぞれの教材の特色を見極めながら、複数の学習教材を組み合わせて、効果的に学習していく必要があります。
※スタディサプリ公式サイトより
オンラインの「家庭教師」、「教材」、「塾」の違いとは何か
ではオンラインの学習方法には一体どのようなものがあるのでしょうか。
オンライン学習サービスには大きく分けて「オンライン家庭教師」「オンライン教材」「オンライン塾」の形態があります。
それぞれについて解説します。
■オンライン家庭教師
- 学習形態
- 代表的なサービス
- 必要機材
オンライン上での個別指導。基本的に生徒1人に対して講師1人が指導を行うもの
エイドネット、家庭ネット、Netty
パソコン、タブレット、ヘッドセット、カメラ
オンライン家庭教師は、従来の家庭教師のように自宅に講師が来ません。
講師と生徒がお互い遠方に住んでいても、指導を受けられます。
地方に在住の生徒が、都市部の難関大学の学生やプロ家庭教師から直接勉強を教えてもらえる点が大きなメリットです。
ただし一般的な家庭教師とは違い、やりとりに少し時間がかかるというデメリットもあります。
「質問をあらかじめ考えておく」「出された宿題はきっちりやっておく」など指導時間をムダにしないような心掛けが大切です。
オンライン家庭教師 ピースネットは家庭学習の習慣づけをサポートするためにスケジュール表の作成や、毎日の宿題提出チェックを行っています。
指導日以外の指導もしてくれるので、塾に通わずに中学受験をしようとする人には心強いサービスといえるでしょう。
もし高いレベルの中学受験を目指すなら、受験ノウハウや合格実績を誇るサービスから検討してみてはいかがでしょう。
リーダーズブレインは、数々の難関校への合格実績を誇るプロの家庭教師集団です。
TESTEA(テスティ)は、スタディサプリの算数を担当している繁田和貴氏が塾長を務める塾です。個別塾で培ったノウハウを元に、オンライン学習のサービスを開始しています。
■オンライン教材
- 学習形態
- 代表的なサービス
- 必要機材
オンライン上の教材を用いて、子ども自身が学習する。専用のタブレット端末などを使って、出題された問題を解いていく
スマイルゼミ、すらら、RISU(リス)
専用端末、パソコン、タブレット、インターネット環境
オンライン教材には、専用のタブレット端末を使うものと自宅のパソコンやタブレットを使い、学習を進めるものとがあります。
専用のタブレット端末は、端末自体の費用がかかるものや、現物が到着するまで学習に取りかかれないというデメリットがあります。
その反面、一般のタブレットとは違い、子どもがついユーチューブを見てしまうといった断線が少なく、勉強に集中できるというメリットがあります。
スマイルゼミや算数に特化したRISUは専用タブレット端末を使ったサービスです。
オンライン教材には、現在の学年以外の学習内容を自由に学べる無学年方式を取っているものが多く、受験に必要な先取り学習がしやすいという点も見逃せません。
■オンライン塾
- 学習形態
- 代表的なサービス
- 必要機材
映像授業による学習形態
スタディサプリ
タブレット、パソコン、インターネット環境
オンライン塾は、塾の講義を自宅で見られるように授業を映像化し、配信するサービスです。
板書をしながら講義をすることが多く、学校でもおなじみのスタイルなので子どもは違和感なく授業を受けられます。
スタディサプリは、月々1,980円という低価格で業界トップレベルの授業を受けられる画期的なサービスです。
要点よくわかりやすく教えてくれるので、飽きずに講義を受けられます。
中学受験にも対応しており、算数の特殊算の方法も噛み砕いて解説されています。
ただし講師の授業があまりにも上手なため、子どもが完全に理解していなくて、なんとなくわかったような気になってしまう危険性も。
授業を受講した後は、問題を解いて本当に理解しているかを確認してみましょう。
それぞれの学習形態のメリット、デメリットは?
それぞれの学習形態のメリット、デメリットは次の通りです。
■オンライン家庭教師
- メリット
- デメリット
・一対一で授業を受けられるので、苦手な部分をフォローしてもらえる
・質問がしやすい
・他のオンライン学習法より料金が高め
・中には、指導方法や学習内容を講師に任せっきりの会社もある
■オンライン教材
- メリット
- デメリット
・いつでも好きな時に学習ができる
・問題を解いているうちにレベルを調節して、子どもに合った問題を出題してくれる
・アニメーション画像で、楽しく学習ができる
・強制力が少なく、だらけやすい
・わからない点があっても質問ができない
・中にはとてもスピードが遅すぎる教材もあり、飽きてしまう
■オンライン塾
- メリット
- デメリット
・苦手な単元の講義をわかるまで何度も見られる
・レベルの高い講義を自宅で受けられる
・情報のインプットには便利なものの、問題を解く作業があまりできない
・動画による講義なので、緊張感がなくなりやすい
オンライン学習の形態によっても、メリット、デメリットがあります。
それぞれの長短を補えるようにさまざまな形態を組み合わせることで、効果的な学習が期待できます。
我が子のタイプに合った選び方とは?
では子どもに合った、オンライン学習形態の選び方はあるのでしょうか。
それぞれの学習形態ごとに向いている子どものタイプをあげてみます。
■オンライン家庭教師
オンライン家庭教師は、わからない部分を直接教えてもらえます。
苦手な部分がわかっている時は質問できますし、問題を解いていてつまずいたとしてもその様子を見た講師から適切なアドバイスをもらえます。
家庭学習に不安のある子には、オンライン家庭教師がオススメ。
オンライン家庭教師の多くは、指導日以外にもメールなどで不明点を質問できるサービスがあります。
受験についての情報を尋ねたい時にも、オンライン家庭教師に直接聞けるので、生の声を聞きたい人に合っています。
■オンライン教材
オンライン教材は、基礎をしっかりと学びたい子にぴったりです。
オンライン教材はアニメーションなどを使って解説しているので、動きがある分、頭に入ってきやすいです。
自分で答えを入力したり、書き込んだりする必要があるので夢中になって取り組んでいるうちに基礎学力が定着します。
■オンライン塾
オンライン塾は、動画を見終わったあとに自分で問題を解かなければ学んだことが定着しにくいです。
動画を見たからそれで充分と考える子は、十分な効果を得られないでしょう。
オンライン塾は、自分から意欲的に学習できる子に向いています。
いつからどの学習形態を利用したらよいか
中学受験に向け、いつごろから、どの学習形態を利用したらよいのでしょうか。
一般的に大手の進学塾では、3年生の2月ごろから受験コースを開始。
4年生から受験の勉強をはじめ、5年生の終わりか6年生のはじめころには受験の出題範囲すべてを先取り学習してしまいます。
6年生になると、志望校ごとの受験対策に本格的に取り組みます。
塾に通って勉強しているライバルの状況を考えると、低学年から3年生までは基礎的な学力をつけ、4年生から少しずつ受験準備のための勉強にシフトしていくとよいのではないでしょうか。
具体的には、次のようなスケジュールが考えられます。
・低学年ころからオンライン教材を利用し、基礎学力をつける。
・4年生から5年生までに、オンライン教材やオンライン塾を利用して先取り学習をする。
・4、5年生から勉強のやり方や志望校合格に必要な指導を受けるためにオンライン家庭教師を取り入れる。
家庭での学習方法やノートの取り方などを個別に教えてもらうために、上であげた例よりも早く家庭教師をつけることが適している子もいます。
本人の学力や志望校のレベルに応じて、調整していくとよいのはないでしょうか。
オンラインでの学習を上手に取り入れて、受験準備を行いましょう
オンラインでの学習形態は、まだそれほど浸透しているわけではありません。
そのため中学受験のみでの受験準備を行った人の合格実績は、塾通いの人に比べるとかなり少ないです。
しかし「自宅にいながら質の高い学習ができる」「自分のペースで学習に取り組める」「通塾の時間がかからない」というメリットは見逃せません。
「塾に通えないから中学受験はムリだ…」と諦めずに、オンライン学習法の特性を理解し、上手に学習に役立ててみてください。