プログラミング

なぜ小学校で必修化されるのか?話題のプログラミング教育を徹底解説

2020年からプログラミング教育が小学校で必修化されることが話題になっていますよね。
「プログラミング」という名前は聞いたことがあっても、どのようなことをやるのか、しっかり理解できている方は少ないかもしれません。

小学校で何を実際に学ぶのか、また、それに伴って話題になっている「プログラミングスクール」等の塾についても一度おさらいしておきましょう。

プログラミング教育がなぜ必修化になったのか?

文部科学省が公開している資料「小学校プログラミング教育の必修化に向けて」によると、プログラミング教育が必修化された理由は大きく2つあると考えられます。

これからの時代は情報活用能力が必要に!

インターネットがここまで発達する前の時代は、情報は活用するものではなく、身につけたり消費したりするものでした。
テレビで言われていることが正しく、身近な友人や大人を真似れば生きていくことができた時代がありました。

いまは子供から大人まで、スマートフォンやパソコンを使い、新しい情報を常に仕入れることができる時代です。
世界中の価値観に触れられるようになった今、自分の生き方や考え方を取捨選択して生きることが当たり前になりつつあります。

まだ学校教育の現場では、「学ぶこと」に重点が置かれていますが、これからの時代を生き抜くためには情報技術を「活用すること」を意識した教育に変えていく必要があります。

プログラミング教育の導入は、情報活用をする子どもを育てるための方法のひとつなのです。

プログラミングスキルが仕事選びに直結する!

現在の社会では、プログラミングをする人(=プログラマー)の存在は、まだまだ少数派といえるでしょう。
ほとんどの方はパソコンやスマートフォンを所有し、日々いろいろなプログラムの恩恵を受けて生活をしています。

例えば自動車のカーナビゲーションシステムは、自動で最短ルートを計算し教えてくれるプログラミングの一種ですが、使う人にプログラミングの知識はいりませんよね?

プログラミングの中身について知らないままでもできる仕事は沢山ありますが、これからの時代は、今以上に仕事の自動化が進んでいきます。
プログラムの仕組みを理解しないまま生活していると、いつの間にか自分の仕事がプログラムによって代替され、ある日突然、自分の仕事が無くなってしまうかもしれません。

子供の職業選択の可能性を狭めないためにも、プログラミング教育は大事なのです。

そもそもプログラミングとは?

プログラム言語でコンピューターに指示を出すことを、プログラミングと呼びます。

人間同士であれば「お皿を洗ってください」と相手に伝えれば、自分のかわりに洗ってくれるかもしれません。
相手がコンピュータとなると少し複雑です。話して命令するだけでは動いてくれないのです。
コンピュータにも分かる言葉(プログラム言語)で「お皿を洗う」という動作を伝える必要があります。

自分がコンピュータにやってほしいことをプログラムで表現すること、それがプログラミングです。

プログラミングで何ができるの?

プログラミングが出来るようになると、コンピュータに、人間の代わりに働いてもらうことができるようになります。
コンピュータが人間よりも優れているのは、正確性と、処理能力です。
コンピュータは与えられた指示を、正確に、早く処理することを得意としています。

その結果、人と比べて同一時間により多くの仕事を処理することができます。
また、人の代わりに自動で処理することも可能なので、人が寝ている夜間等に仕事を任せることもできます。
さらに、遠隔操作によって人間が滞在できないような危険な場所での仕事も遂行することができます。

プログラミングをするプログラマーってどんな仕事?

プログラマーはプログラミングによって、システムやソフトウェアを作ることを仕事にしています。
実はプログラマーにも多くの種類があり、ショッピングサイトや企業のHPを作成するWeb系、コピー機や白物家電、テレビ等の機械制御を行う組み込み系、ネットワーク機器などの通信関連を専門に行う通信系など、それぞれの分野に専門プログラマーが存在します。

システムエンジニアとプログラマーって別?

IT業界に携わっていない方でも「システムエンジニア」「SE」という言葉に聞き馴染みのある方は多いかもしれません。

システムエンジニアの仕事は、プログラマーに作って欲しいプログラムの設計書を作成することです。
クライアントにどんなプログラムを作って欲しいかをヒアリングをし、設計するのはシステムエンジニアの仕事、作られた設計書からプログラムを作成するのはプログラマーの仕事です。

プログラマーに向いている人はどんな人?

プログラマーに向いている人に求められる能力はいくつかありますが、何よりも大事な能力はコミュニケーション能力だと言われています。

私がプログラマーとしては働いていた時は、上司がすぐに感情的になる人でとても苦労しました。
プログラミングの世界は1人の孤独な作業と思われがちですが、複数名のチームで作業することが多いのです。
能力や性格がプログラマー毎に異なるので、チーム内で作業分担が行えるようにコミュニケーション能力を身に着けていることはとても大切です。

「プログラミング教育必修化」の勘違い

2020年に「プログラミング教育が小学校で必修化」というニュースが駆け巡りましたが、「必修化」という言葉が多くの方に誤解を生んでいるようです。

「プログラミング」という新しい科目は存在しない

私も「プログラミング」という新科目が登場すると勘違いしていたのですが、実際にはそのような科目が新設されるわけではなく、小学校教育全般に「プログラミングの考え方」が取り込まれることになります。
試案によると、算数、理科、総合的な学習の時間を通して、プログラミングの基礎を学ぶことになる予定です。

プログラミング言語を習得することが目的ではない

小学校で必修化される「プログラミング」は文字入力など基本的な操作の習得、プログラミング的思考の育成に限られます。
プログラマーになる教育を小学校で行うわけではありません。

「プログラミング教育必修化」の不安

株式会社アフレルが実施した「プログラミング必修化に関するアンケート」によると、
保護者の実に84%がプログラミング必修化に不安を感じているとの結果が出ました。
主な内訳としては、
「学校で十分な教育ができるかわからない」
「親が教えることができない」
「子供の負担が増える」
といった内容です。

学校教育や家庭教育だけでは、子どもたちにプログラミング教育を教えられないのでは、という不安を抱えている保護者の方が多いようです。

教育現場での混乱が予想される?

いままでの学校制度ではまったく触れられていなかった「プログラミング」という考え方を学校で教えるのは大変かもしれません。
小学校の先生方も、プログラミングに触れていない方がほとんどだからです。
プログラミング教育の導入に学校の先生が対応できるのか、不安を抱く保護者が多いのが実情です。

ICT環境の整備が課題

また、ICT(情報伝達技術)環境の整備状況が遅れていることも、保護者に不安を与える一要因になっているようです。
ICT環境とは、インターネットやパソコン、タブレットなどが使いやすいように整備して、教室や授業で活用する環境のことをいいます。

文部科学省が2018年10月に発表した調査(平成29年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果)によると、例えば普通教室の無線LAN整備率は全国平均で29.6%(目標100%)しかありません。
7割以上の地域で、インターネットを利用した授業が難しい、ということを示しています。

整備されている地域とそうでない地域の差が大きいのも問題です。例えば教育用コンピュータの整備率は、神奈川県が1台あたり児童生徒数8人なのに対し、佐賀県は1.8人。なんと都道府県で4倍もの差があるのです。

教育環境がこれだけ違う状況で、プログラミング教育が始まることへの不安をお持ちの方が多くいらっしゃるのは当然のことだと思います。

プログラミングは子どもたちにとって必要?

小学校に「プログラミング」教育を導入することでどのようなメリットがあるか、しっかり把握しておきましょう。

プログラミングで思考力が養われる

プログラミングを学ぶことで一番変わるのは「考える力」です。
プログラミングとは、自分が指示を出して、指示通りに対象のコンピュータを動かすことです。
コンピュータがどうしたら適切に動くのかを学ぶ過程で、考える力が自然と身につくのです。

プログラムを書くにあたって、まず鍛えられるのは【想像力】です。
どのようなプログラムを組みたいかを自分で考えないといけないからです。

全体像を考えたら、具体的に「どのような指示を出すか」を考えないといけません。
そこで養われるのが【表現力】です。頭に思い描いたものを設計図として具体的にアウトプットすることで指示が出来るからです。

実際に作成したプログラムを起動すると、かならずバグが生じ、どこかしらでプログラムの不整合が起こります。
自分で作ったプログラムのバグを自分で直すことにより、【自己解決力】が養われます。

小学校で身につけたこれらの思考力は、本人の成長曲線を大きく向上させます。
従来の受け身型の教育では、先生との相性や、教育水準、家庭環境など、環境の良し悪しで本人の成長度合が左右されがちでした。
プログラミング教育によって、主体的に学ぶ力を早い段階から習得でき、環境に左右されずに成長できる機会を得られるのです。

子供にプログラミング教室に通わせるべき?

小学校でのプログラミング教育の導入については、これまで見てきた通りです。
いろいろ課題の残るプログラミング教育ですが、民間のプログラミング教室に子供を通わせたほうが良いか、悩んでいる保護者の方が多いのではないでしょうか?

プログラミング教室に通わせることについては、賛成派と慎重派の両意見ともあるようです。

慎重派の意見

他に学ばせることがあるのでは?

小学生向けの塾やスクールはたくさんありますよね。学習塾、ピアノ、バイオリン等の音楽教室、スイミングやサッカーなどのスポーツ教室など。
子供に習わせたいことが複数あるのに「プログラミング」を習わせることが必要なのか、疑問を感じている方も多いようです。

大人になってからでも身につけられる能力では?

プログラマーやシステムエンジニアとして働いている社会人の多くは、プログラミング教室に通った経験がありません。
幼少期の貴重な時間をプログラミングの学習に使うことがいいことなのか、賛否両論あるようです。

仕事で活かせないと意味がない

将来、プログラマーになると決まったわけでもないのに、小さいうちから習い事をさせる必要があるのか、という意見も見受けられました。
仕事で使うときに学べばいい、という考え方も一理ある考え方です。

通わせるべき派の意見

勉強して損はない

世の中には、プログラムによって動いているものが沢山あります。
横断歩道の信号、自動改札、映画館のチケット、メール、電話、SNSなど。私達が意識していないだけで、プログラムが無ければ、現在の利便性を享受することは出来ないのです。
プログラミングを学ぶことで、社会について理解を深められる、と考える人も多いようです。

入試に影響する可能性もある

2018年に、大学入学共通テストで「情報」の基礎的科目追加が検討されていると、報じられました。
(大学入学共通テストで「情報」出題を検討 文科省:朝日新聞デジタル)大学受験科目となれば、英国数のような他科目と同様、塾等に通い、自主学習を深めたほうがよいと考える人が今より増えるかもしれません。

システムエンジニア(SE)プログラマー(PG)の需要は一気に高まる

「2020年問題」という言葉があるように、現在でもシステムエンジニア、プログラマーは人材不足の問題を抱えています。
今後、情報化社会が高度に発展していくなかで更に求められていく職種であることは間違いありません。
プログラミングの知識・技能を人よりも深く身につけておくことで、雇用のチャンスを掴める可能性は飛躍的に高まることが予想されます。

思考力を身につけることができる

プログラミングを通して思考力を養うことができます。
「どうしたらコンピュータに思い通りに指示を出せるのか」を考えることで、相手のことを深く理解する力を身につけることが出来るのです。

まとめ

小学校でのプログラミング教育必修化から、プログラミング教室に通わせることの是非まで、皆さんにお伝えしました。
2020年から始まる必修化ですが、まだまだ地域差や、先生方の教え方の個人差が大きいように思われます。
これからの社会を生きる子供たちに、どのような教育を受けさせるべきか、一度家族で話し合ってみるのも良いかもしれませんね。

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