【体験談】音楽に無知の親でもできる!子供にバイオリンを習わせて良かった事
アメリカでスポーツインストラクターをやっています。
子育てが終わりつつある1児(男)の父でもあります。
息子にはとにかく健康に育ってほしい、
一人っ子なので一緒に遊び回る友達を作ってほしい、
その2つの願いから、僕ら夫婦は息子が3歳の時から高校生になるまで、
空手、野球、サッカー、水泳、バスケットボール、器械体操、乗馬、テニス、
とにかくありとあらゆるスポーツ系の習い事に連れていきました。
幸いなことに、息子はスポーツ大好き少年に育ちました。
我が家の生活もいつでもそのときに息子がやっているスポーツを中心に回ってきました。
そんな息子が成長していく過程で、唯一バイオリンを習っていた時期があります。
きっかけは学校の音楽の時間
僕には小中学校の音楽の時間以外、楽器を習った経験はありません。
妻は小学生の時に少しだけピアノを習ったことがあるそうです。
そのようなわけで、我が家には音楽環境というものが希薄です。
家の中には楽器は一つもありませんし、オーディオ設備と呼べるほどのものもありません。
人並みにスマホやカーステレオでポピュラー音楽を聴くぐらいはしますが、いわゆるクラシック音楽とは無縁の生活を送ってきました。
自然と、息子も特に楽器を習いたいと言い出すことがなく、僕らの方からもやらせてみようとも思いもせず、前述の通り、スポーツ漬けの子供に育っていったわけです。
ところが、小学4年生の時に、学校で音楽の授業が行われることになり、生徒はコーラスかバイオリンかのどちらかを選べ、ということになりました。
この辺りの事情を少し説明しますと、アメリカの学校教育は地域によってまちまちで、音楽というクラスはあったりなかったりします。たまたま息子が通っていた学校では、当時の音楽の先生がバイオリンをやっていたのでしょう。
その時に息子が選んだのがバイオリンでした。
なぜだか理由はわかりません。
それまでバイオリンを見たことも触ったこともなかったはずです。
音楽に無知の親が出来ること
それでは息子が小学校でバイオリンをやってみようとなったとき、まず最初に僕らが親としてやらなくていけなかったのは楽器を用意することでした。
学校からは自分の楽器を持ってきてくださいと言われるだけで、どのようなものを選べばよいかの指示は特にありません。
それぞれのご家庭でお好きなものを、と言われても、バイオリンというものに全く知識がない僕らは途方にくれました。
コーラスを選んでくれたら楽器は要らないのに、とは思いましたが、息子が興味を持ったものはとりあえず何でもやらせてみるというのが僕ら夫婦の唯一ともいえる育児方針でした。
仕方がないので、妻がママさんネットワークで色々尋ねて回ったところ、僕らが理解したのは以下の2つでした。
- バイオリンには大人サイズと子供サイズがある。
- バイオリンの値段はピンからキリまであり、高価なものは本当に高い。
そうして僕らは楽器店に行き、子供サイズの一番安いバイオリンを1年間レンタルで持ち帰ってきました。
とりあえず、息子がどれだけバイオリンを続けるかわかりませんでしたし、どうせ成長したら大人サイズのものが必要になります。
だから、このレンタルという制度は僕らにとって好都合でした。
レンタル料金は1か月20ドル(約2千円)程度だったと記憶しています。
基本より実戦?
息子は思いのほかバイオリンが好きになりました。
毎日、家でもギーコギーコと戦慄するような音を立てていましたし、週1回か2回の音楽の授業の日は喜んでバイオリンを下げて学校に向かっていました。
スポーツでもそうですが、アメリカの習い事はあまり基本練習というものに時間をかけません。
息子もろくにドレミ音階のようなことをしないうちに、とりあえず何か曲を弾かされているようでした。
この辺りの教え方が良いことなのか悪いことなのか、音楽無知の僕には判断できません。
馴染みのある野球に例えるならば、キャッチボールもろくに出来ないうちに、試合をやっているようではありました。
素人目で見ても(聞いても)、技術的には曲を演奏するってレベルには達していない気もします。
まあ、でも本人達が楽しんでいるのなら、それでいいか、別に音楽家になるわけじゃないし、ぐらいに思っていました。
これもまたスポーツインストラクターの経験からなのですが、僕は子供が何かを習う時に、もっとも大切なことは楽しむことだと確信しているのです。
オトコであることのハードル
1年間の授業が終わり、小学5年生に進級する頃、息子は学校とは別にバイオリンをもっと習いたいと言い出しました。これには驚きました。
その頃の息子は野球に最も熱心だった時期で、それしか頭にないものだと思っていたからです。
本人がやりたいと言うのだから、それに越したことはありません。
また僕らにとって好都合なことがあって、たまたま家から徒歩10分くらいの近所にヤマハ音楽教室がありました。
ヤマハはアメリカでも音楽教室を展開しているのです。
そのヤマハ音楽教室にもバイオリンのクラスがちゃんとありました。
少人数のグループレッスンと個人レッスンの2種類がありましたが、息子は個人レッスンでやりたいと言いました。
そちらの方がより専門的なレッスンを受けられるから、ではなくて、グループレッスンは女の子ばかりだから嫌だという理由でした。
日本ほどではないかもしれませんが、アメリカでもやはり男の子が多い習い事と女の子が多いものに分かれます。
そして音楽関係は女の子の方が圧倒的に多いようです。
少なくとも、そのヤマハ音楽教室で当時やっていたバイオリンのグループレッスンには女の子しかいませんでした。
その年頃の男の子として、女の子だけのグループに混じりたくない、と言うのは同じオトコとしてよく理解できます。
当然、個人レッスンの方がグループレッスンより高くつくのですが、息子の願いを尊重することにしました。個人レッスンの先生は男性でした。そのことも息子にとっては大きな意味があったみたいです。
ちなみに、このオトコであることのハードルはスポーツの世界にも存在します。
息子は器械体操を習った時期もあるのですが、そのときもジムが女の子だらけだという理由で辞めました。
器械体操は子供が運動能力を高める上で最適な習い事だと思っていましたので、僕としては実に残念なことでした。
逆に女の子が野球とか男の子の多いスポーツや習い事をやりたいときは、この男女の棲み分けはハードルになるのでしょうね。
バイオリンを習って良かったこと
息子はヤマハ音楽教室には2年間ほど通い、中学1年生のときに辞めました。
その頃にはバイオリンも大人サイズのものを使い、演奏会などにも何回か出るようになっていたのですが、どうしても野球の試合とレッスン日が重なることが多く、きちんと毎週レッスンに出席することが難しくなったからです。
それ以来バイオリンはやっていませんが、嫌いになったわけではありませんので、またいつか再開することもあるかもしれません。
バイオリンを習うことで息子は多くのものを得ました。
楽譜を読めるようになったのはその1つ(僕は全く読めません)。
将来息子がバイオリンを再開するにせよ、他の楽器でもやりたいと思ったときでも、この能力はきっと役に立つでしょう。
そして音楽を鑑賞する楽しみを持つようになったことで、息子は一生の財産を得たのかもしれません。
今でもクラシック・コンサートに好んで出かけるようになりました。
情操教育なんて言うと大げさですし、教養を高めるってほどのレベルには達していないかもしれませんが、親として子供に人生の楽しみを一つ与えることが出来て、バイオリンを習いに連れていったのは良かったなと今でも思っています。